中学生・高校生の頃は意識して人の話を聞くことが少ないと思いますが、大学生・社会人へと移り変わる過程で、私たちは的を射た議論を交わす機会が多くなりますよね。
例えば、子供の頃はこのような会話をしていたはずです。
Aちゃん「このチョコレートおいしい」
B君「どうして美味しいの?」
Aちゃん「おいしいと思ったから(*’ω’*)」
一見どこにでもありがちな子供の会話ですが、一体「何が美味しいのか」という点が全く語られていませんよね。
しかし、大人になると同じような話題でも以下のようになります。
Aさん「このチョコレートおいしい」
B君「へえ~、普通のチョコレートとは味が違うんですか?」
Aさん「そうなの。カカオ80%で糖分が控えめだから、おばさんには丁度いい味わいなの!」
このような感じで、お互いの論点を意識して話す事が多い為、会話のキャッチボールがスムーズに働きます。
特に男性の場合は論理的思考を持ち合わせている場合が多く、世間では「理屈っぽい人」や「屁理屈ばかり言っている人」と思われがちですが、これは男性にディベート好きが多い事を示している証拠でもあります。
しかし、このディベート好きな男性(もしくは女性)には、本人が意識していないだけで実は、論点(論理)のすり替えが起きているケースが存在します。
そこで今回の記事では、以下の3つの事項を解説していきたいと思います。
- 論点のすり替えとは何なのか
- すり替えの例題と相手の心理
- 話がすり替えられた時の対処法
是非、最後まで読み進めて下さいね(*^^)v
コンテンツの内容
論点のすり替えとは?
論点のすり替えは別の言い回しだと、「論点ずらし」や「論点がずれる」「議論のすり替え」「論理のすり替え」などと表現されたりしています。
その論点のすり替えとは、話している会話の内容が一見関連のありそうに見えて、全くそうでない方向(全然違うポイント)に持って行く事や、相手が自分のペースに持ち込もうとする行為を指します。
例えばあなたの家庭では、家族の皆が交代制でトイレの掃除をしているとしましょう。
その掃除は原則的に毎日やる事が習慣になっていた為、サボる行為は絶対に許されません。
しかしある日、弟がトイレ掃除をサボっていた事実が発覚します。
すると、あなたは弟に「なんでトイレ掃除をしなかったの!!?」と問い正すと、弟は「分かった!明日やるから!」と反論してきました。
普通ならこの会話はこれで一件落着となりますが、実はここで論点のすり替えが起こっています。
お姉ちゃん(お兄ちゃん)は弟に「なぜ掃除をしなかったのか」という事を聞きました。
ですが弟は、掃除をサボった理由ではなく「明日やる」という意思表示に論点をすり替えたのです。
つまり、「今話し合うべきは、そこじゃないでしょ!」という方向に話を展開する人が、論点をすり替える人の特徴だという事です。
上記の例ではあながち論点が全くズレている訳ではありませんが、感情的な会話になると大きく論点がずれてしまう傾向にあります。
よく、上司が理不尽な話をしたり、彼氏・彼女が意味の分からない話をしたりする場合は、論点のすり替えをしている、或いはシンプルに話が下手クソな場合かのどちらかに該当する可能性が高いです。
ディベートの強い人は論点をすり替える行為が上手い
また、ディベート(討論)が上手い人というのは、本人が意図していなくても論点のすり替えをしているケースがあります。
これは自己主張やプライドの高い人に多い傾向があり、「いかに自分が正しいか」という事を相手に伝えようとするため引き起こされる現象です。
ディベートにおいて大切な点は、その発言が客観的に見て正当性や合理性のある事実を述べる事であり、個人的な感情による意見や感想であってはなりません。
議論の際に論点をすり替える人たちは、この「事実」から「個人的な意見」にもっていく行為が度々見られ、尚且つ相手を納得させるのが非常に上手いです。
例えば、女性が「なんで床に靴下脱ぎ捨ててるの!汚いでしょ!」と言えば、男性は「いやいや、後でどうせ使うから!」と反論する人がいます。
すると女性は「もう!」と言いながらも相手を許してしまう人が多いと思います。
それは本能的に「喧嘩をしたくない」と考えている事から、許すという行為を選択したのかもしれません。
しかし、ここで女性が主張したい事は「靴下を脱ぎ捨てるのが汚い」という事です。
ですが男性は「靴下が汚い」というポイントではなく、「後で使う」という方向に論点をすり替えている事がお分かりでしょうか?
本来ここで男性がするべき正しい返事は、「靴下を脱ぎ捨てようが床は汚れない」という事を事実を持って示すか、素直に謝るかのどちらかになります。
「いやいや、女性の意見も個人の感想じゃん」と考えた人。違いますよ。
女性はあくまで、話題を振った(論点を定めた)張本人です。その論点の基軸は意見や感想でもいいんです。
ただ、その意見や感想の正当性を示す為には、事実に基づいた根拠やデータが必要という事です。
そのため今回の例では、男性は女性に対して明白な事実を持って「靴下は綺麗である」もしくは「床は汚れない」という事を証明しなければなりません。
その証明をするために「個人の意見や感想」を用いるのは根拠として弱いよねって話です。
✔ 論点をすり替える人の特徴
- 無意識に自分を正当化している
- 頑固で自分が一番正しいと思っている
- 相手を手懐ける事で有利な立場に立とうとしている
- 自分の意見を通す事で優越感に浸っている
ざっとこのような事が特徴として挙げられるでしょう。
ご飯論法もすり替えの一種!
皆さんはご飯論法って知っていますか?
今年(2018年)の流行語大賞にもノミネートされているご飯論法ですが、「何それ?初耳」ってなる人が大半だと思います。
私も流行語大賞が発表されて初めて、その存在を知りました(笑)
ご飯論法とは以下のようなケースを意味します。
このように相手の「ご飯を食べてきたか?」という表現には、ご飯(お米)だけでなく「何か食べ物を食べてきたか」という表現が含まれています。
しかし、上記のように人によっては「ご飯=お米」の人もいますし「ご飯=食べ物全般」と捉える人もいます。
大抵の方はご飯と聞かれたら後者の「食料全般」だと受け取りますよね。
ですがそのからくりを逆手にとって、食べ物を食べたにも関わらず「ご飯を食べていない(白米は食べていない)」と表現する人が「ご飯論法」を使う人だと言われています。
つまり、ひねくれ者や擦れてる人間に多く利用されている手法という事です。
これは論点のすり替えの一種とも言えるため、騙されないように注意しておきましましょう。
営業や悪質な勧誘にも用いられる事も!?
このような論点のすり替えですが、実はマルチ商法やネズミ講といった悪質商法にも利用されている事を知っていましたか?
彼らは心理的なテクニックを駆使し、人から搾取する事だけを考えています。
例えば、「なぜ今まで優秀だったあの子が」「あんなに優しかった彼が」「いつも真面目だったアイツが」といった風に、大切な人が悪質商法に引っかかる事も珍しくないですよね。
傍から見ると、何故そのような事になってしまったのか・・・と冷静に判断する事ができますが、悪質な勧誘に巻き込まれた張本人はその事を1ミリも理解していません。
では、どうしてそのような事になってしまうのかと言うと、勧誘する側の話が巧妙に企てられている為です。
また、その巧妙な話術には論点のすり替えが用いられています。
それも長期に渡り徐々に洗脳して行く為、洗脳されている本人は気づかない事の方が多いです。
▼論点のすり替えによって洗脳されるパターン
誰でも儲かる事ができるよ(初期の頃)
↓
成功者の言う事を実践すれば儲かるよ
↓
成功するには製品を知る必要があるよ
↓
製品を知るには製品を実際に使わないと無理だよね?
↓
製品を使えば幸せや健康が手に入るよ
↓
幸せになるために製品を沢山買おう!
↓
ん?借金?成功したくないの?
↓
結果:生活の崩壊
このように当初の「稼ぐ」という当初の目的がいつの間にか「製品を買う事」にすり替えられてしまい、洗脳が解ける頃にはお金、人間関係、生活などを失う羽目に合います。
まぁ、その頃には気づいても遅いんですがね。これが資本主義の恐ろしい部分とも言えます。
相手に騙されないための対処法
このように論点のすり替えは悪用されるケースも充分に考えられるので、そのような目に合わない為にも対処法を練っておかなくてはなりません。
と言っても、それを対処するには自分が日頃からアンテナを張っておく必要があります。
そもそも自分自身が議論や会話の流れを理解し、話題の中心になるキーワードは何なのか、その会話の本質は何なのかを把握している事が大切になります。
特に注意しなければならない人は以下の特徴を持つ人達です。
- 相手の話を鵜呑みにする
- 疑問を疑問のまま終わらせてしまう
- 感銘を受けやすい(感情が高ぶりやすい)
- 論理立てて考えようとしない
このような方は特に注意が必要になります。
そういった場合は今日から以下の事を身に付けるようにしましょう。
- 相手の意図を考える(なぜそのような事を言うのか、相手は何のメリットがあってそれを話すのか)
- 相手の理論に否定的な例が当てはまらないか考える(例えば「絶対に儲かります」と相手が言う場合、「逆に儲からなかった事例はないのか?」という事を考える)
- 一時的なテンションに惑わされず、一歩引いた立場から冷静に考える
これらを常に意識しながら生活する事で、論点がすり替えられた場合にそれを指摘する事ができます。
▼論理的思考のおすすめ書籍📖
3冊目は子育て・教育用になります。
まとめ
論点のすり替えを行なう人たちに一貫して言えることは、自分が有利な立場に立つために行なっているという事です。
自分を正当化したいと思うのは、誰しも願う事ですからね。
もし、日常生活の中で相手の発言に違和感を覚えた場合は、論点をずらされている可能性が高いと思います。
試しに理屈っぽいと言われる人と意識して話してみると、意外と面白い発見ができるかもしれませんね。